分子レベルで見た触媒の働き 反応はなぜ速く進むのか
松本吉泰
触媒は、それ自身は変化せずに反応速度を大きくする物質です。では、なぜ触媒を用いると反応速度が大きくなるのでしょうか。
不均一触媒系では、反応は触媒の表面で起こります。しかし、ノーベル物理学賞受賞者であるヴォルフガング・パウリは、「固体は神がつくりたもうたが、表面は悪魔がつくった」と表面の複雑さ・難しさを表現しています。不均一触媒反応の分子レベルでの理解を目指した研究分野に「表面科学」があります。
本書では、表面科学による触媒の反応機構研究の最前線がどこにあるのか、どのようにしてここまで到達したのか、そして今後どのように展開していくと期待されるのかがまとめられています。表面・界面を対象とした研究の一端に触れることができる本だと思います。
(ブルーバックス)