外国語教育

個別最適な学び

個別最適な学びを中学校で行うためには?


星野由子先生

千葉大学 教育学部 学校教員養成課程 英語教育コース(教育学研究科 学校教育学専攻)

出会いの一冊

世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書

正頭英和(講談社)

日本人英語学習者が目指すべき英語力の目標や、どのように英語を学習すればよいかなどが、非常に読みやすく書かれています。専門用語を知らなくても読めるので、中学生から読めます。

こんな研究で世界を変えよう!

個別最適な学びを中学校で行うためには?

重要視されている「個別最適化」

現在の学習指導要領では、個別最適な学びを行うことが重要視されています。つまり、同じ教室の中には塾に通って既に英語の資格試験にも受かっているような英語が得意な生徒もいる一方で、英語が苦手な生徒もいます。このように多様なレベルの生徒が同じ教科書を使って同じ進度で学んでいくのは難しいため、一人一人にとって最適なやり方や教材を使って学んでいくということが、個別最適化の考え方です。

様々なルートで同じ目標へ

生徒全員が同じ進度で学ばなくても良いとは言っても、学習指導要領や教科書で示されている「目標」があり、全員がその目標達成を目指すことは重要になります。授業中には進度が変わっても、学期末には同じテストを受けて評価をされるでしょうし、入試もあるので「英語が苦手な子はゆっくりゆっくりやればいいよ」とだけ伝えるわけにもいきません。なるべく、生徒全員が指定された目標に到達できるようにしなければなりません。

私は、個別最適化は山登りに似ていると思っています。関東平野には筑波山(標高877m)という山がありますが、筑波山には主に4つの登山コースがあり、それぞれ険しさが違うため自分でコースを選んで登ることができます。また、ロープウェイやケーブルカーもあるので、歩いて山頂に行くのが難しい人は、そのような乗り物を使って頂上に行くこともできます。平易なコースで登ってみた後に、次はより険しいコースを使って再び登ることもできますし、筑波山では物足りない人はもっと高い山に挑戦することもできます。ただし、筑波山の山頂を目指すということは、全員共通の目標となります。これまでの教育では全員が同じルートを使って登山をしていましたが、個別最適化では様々なルートを選べるようになるのが良い点だと思います。

画一的なものより人手と労力がかかる

とはいえ、たくさんルートを作るということは、それを整備する人もお金も必要になります。英語の授業でも同様で、いろいろな生徒に合わせるものを作るということは、画一的なものを作るよりも人手と労力を必要とします。そのため、全員に合うものをすぐに作ることは難しいかもしれませんが、なるべく多くの生徒が自分に合った方法で学べるようになることを目指して取り組んでいきます。そのために、英語の教科書を元にして難易度の異なる英文を作成し、それを実際の中学生に使ってもらって、最終的に全員が同じ目標を達成できるようになるのかどうかを調査していく予定です。

SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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日本では現在小学校と中学校が義務教育であるため、小学生と中学生に質の高い教育を受けさせる義務が教員にはあります。しかし、現在の小学校での英語教育は、教員研修が充分ではなく、どのように英語を教えればいいのかわからない状態です。

私の研究では、小学校での英語教育で児童が達成すべき英語力の1つの指針を示す予定です。これによって、質の高い教育の担保の一助として貢献したいと思っています。

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「学習者が自分で選択する個別最適な学び:中学校英語リーディングに焦点を当てて」

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星野先生のページ

ハワイで行われた学会でポスター発表をしたときの写真です。 ハワイなのでフォーマルな格好ではなく、多くの人がラフな格好で参加していました。
先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な職種

(1) 中学校・高校教員など

(2) 小学校教員

◆学んだことはどう生きる?

これまで指導してきた学生には公立学校の教員になりたい学生や、海外での勤務に興味がある学生がいました。無事に公立学校の教員になった学生は、各地でその地域の教育を支えるためにそれぞれ頑張っています。

先生の学部・学科は?

千葉大学教育学部英語科では、小学校から高校までの英語教育に興味がある学生たちのニーズをカバーできます。特に小学校の英語教育や英語コーパス、国際理解教育については強みがありますし、2020年度からは「全員留学」をうたっており、留学プログラムも豊富にあります。

先生に一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

すごくお金持ちになったら、ハワイに住みたいです。ハワイ(特にホノルル周辺)はお金持ちじゃないと住めないですね。ハワイに住んで、フラダンスを上達させたいです。

Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?

小さい頃から『サウンド・オブ・ミュージック』が大好きです。主人公のマリアたちが歌っているのを真似して、ドレミの歌などを英語で歌えるようになったのが嬉しかったです。

Q3.熱中したゲームは?

『ドラゴンクエストV』が大好きで、10回以上はクリアしました。元々はお金目当てでフローラ派だったのですが、ニンテンドーDS版が出てからはデボラ派になりました。

Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

 ユニクロで1年ほど働いていました。立ったまま服を畳めるようになりました!

Q5.研究以外で楽しいことは?

フラダンスが趣味です。ちなみに、ハワイ語で「hula」は「踊る」という意味なので、フラダンスは実は「ダンスダンス」と言っているのです。


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