おいしい食感を「2次元食感マップ」でデザインする
「もちもち」食感に注目
誰もが使う言葉「おいしい」は、楽しさを表す表現だと思います。おいしいに貢献できたら、自分も楽しくなれるのでは。そんなどこにでもある単純な動機で研究しています。
しかし、どのような特徴を持った手法や考え方でオリジナルな貢献ができるのかを、常に考えています。おいしさの要素は食品の視点からは風味と食感ですが、「おいしい=美味しい」なら味や香りの風味を最初に考えるかもしれません。
しかし、かたい・やわらかい、さらに「もちもち」のような食感の重要性が注目されています。おいしい食品を作るためには、「もちもち」のような感性的なおいしい食感をデザインする必要があります。
ヒトの感覚と物理・化学的解析をつなげる
そこで、「おいしい食感のデザイン法の開発~時間軸と口腔部位の2次元食感マップの構築~」を目指しています。おいしさはヒトの脳の中にあるので、ヒトが評価する官能評価と、物理・化学の実在の食品づくりを「2次元食感マップ」で関連付ける研究を続けています。
最先端の認知科学をおいしさづくりに
21世紀は情報の時代です。情報の概念を取り込んできた認知科学の進展が期待されます。最先端の認知科学の知識を、食品のおいしさづくりに具体的に生かす方法を明らかにすることで、社会に貢献できれば嬉しいです。
高校生・中学生の皆さんも自分が興味のある分野と手法的に今ものすごく変化している最先端の分野の関わりを考えると、挑戦したい気持ちができて、楽しく行動できると思います。
「おいしい食感のデザイン法の開発~時間軸と口腔部位の2次元食感マップの構築~」
◆食品工学研究室では
企業での研究開発営業の15年の経験を踏まえて、今学んでいることと社会との関わり、大学でこそやるべき社会に役立つ研究、そして大変な研究を楽しむ主体性と複眼性を持つ技術について話します。
◆主な業種
(1)食品・食料品・飲料品/タバコ・飼料・肥料
(2)化学・化粧品・繊維/化学工業製品・衣料・石油製品(プラントは除く)
(3)小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
◆主な職種
(1)基礎・応用研究、先行開発
(2)設計・開発
(3)品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
卒業生は、研究対象の食品に関する幅広い知識を有し、さらに多数のメンバーにもまれたコミュニケーション能力の高さが評価され、食品企業の研究開発・技術営業・企画等々で活躍しています。大手企業でカロリーオフの新技術を開発し、世界の学会で発表している人もいます。
また、開発企画の経験や取得資格を活かし、結婚出産後に食のプロフェッショナルとして独立し、子ども料理教室を主宰するかたわら、内閣府食品安全委員会の専門委員も務めている卒業生もいます。
農芸化学科は明治10(1877)年に東京・駒場農学校に初めて設立されました。「化学と生物」に関連したことがらを、基礎から応用まで幅広く研究する学問分野でした。応用生命科学・生物機能化学・食品科学等々の学科が分離改名していく中で、明治大学農学部農芸化学科は、幅広い学問領域(食品・環境・微生物・生物機能)と最先端の科学技術(バイオテクノロジーと最新のサイエンス)を特徴とし、日本農芸化学会の伝統を守り抜いてきました。
おいしい食品を創るためには、2つの面からのアプローチが必要です。1つは認知科学・脳科学です。おいしさは私たちの脳の中にあるからです。もう一つは、実体としての食品をどのようにつくるかです。物理・化学が明らかにする物質としての食品です。この二つのアプローチを結びつけるのが「おいしさのデザイン」です。いわゆる理系文系が融合した学際領域です。単に得意科目で進路を決定するのではなく、興味のあることにどのようにアプローチするかを考えてください。今回紹介した2冊の本はそのきっかけになると思います。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 脳神経科学 |
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Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? バドミントン部 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 高速道路料金所のペンキ塗り |