薬学系の本

元素111の新知識 第2版

桜井弘

クスリといえば通常は有機化合物を思うが、金属イオンそのもの以外にも、金属イオンをふくむ酵素など、生体内で金属は多様な働きをしている。しかしその重量は少なく、微量でもよく効く元素が金属元素だとわかる。ヘモシアニン、ミオグロビンなどは、酸素を体のすみずみまで送り届け、貯蔵する機能があり、シトクロムP450は服用した薬を分解し、体内から排出する機能を持つ。また、生体エネルギーのもととなるATPという物質を合成するときには、電子伝達系が重要となる。このように、生命活動としては裏方に近いところで金属イオンは働いている。この本は、金属イオンが働く仕組みを、簡単な無機化合物から金属酵素までを対象にして、平易に解説している。 (ブルーバックス)



レナードの朝

実話に基づく、医師と神経難病患者の物語。30年間昏睡状態にあった患者に、試験的に新薬を投与して回復を試みる話。薬のもつ力とその限界を踏まえ、医療とはどうあるべきかを知る上で恰好の教材と言える。 (ロバート・デ・ニーロ:主演)



大村智物語 ノーベル賞への歩み

馬場錬成

決してエリート街道を進む人生ではなかった。夜間高校教師から始まる、波瀾万丈の研究者人生。そして、2015年ノーベル生理学・医学賞受賞に至るまでの大村博士の半生を振り返る。大村博士自身による書下し「若き日の君たちに伝える」も収録しており、読みごたえがある。 (中央公論新社)



薬の効き方・効かせ方

寺田弘

薬がどのように効くのかが、初めて読む人にも分かりやすく書かれている。薬が作用する仕組みを利用した最新の研究である、DDS(ドラッグデリバリーシステム)についても簡単な言葉で書かれている。最後には、薬学を志す学生に向けたメッセージも書かれている。 (オーム社)



分子レベルで見た薬の働き 生命科学が解き明かす薬のメカニズム

平山令明

薬学は、生命現象や疾病,医薬品の働きを「化学」の立場から理解する学問領域であり、この点が診断や治療を目的とする医学とは異なる点だ。この本では、医薬品がどのようなメカニズムで薬としての作用を示すかということが、化学という立場から分子・原子レベルで解説されている。全体としては高校生にはややレベルが高い本だが、試してみてほしい。例えば、高校の化学の教科書にもあるアスピリンやペニシリンが、なぜ薬として機能するかなども述べられている。 (ブルーバックス)



薬学教室へようこそ

ニ井将光

クスリとは何か、クスリの創製、クスリの適正使用、薬剤師の仕事や薬学部で学ぶことなどについて、多くの執筆者によって広く網羅的に書かれている。専門的な内容というよりは入門書として適している。 (ブルーバックス)



世界を変えた薬

佐藤健太郎

著者や医薬品メーカーや大学研究職などを経たサイエンスライター。薬も毒も多くは化学物質であるが、その化学物質と人類との関わりを、世界史の中で面白く解説している。医薬品の持つ力をあらためて考えさせられる一冊。 (現代新書)



薬学のための無機化学

桜井弘

薬学を学ぶ学生向けに書かれた教科書。無機化学の基本的要素と、続く応用としての生物無機化学を分かりやすく解説している。応用問題や演習問題、その解説なども豊富で、幅広い知識を支える。 (化学同人)



活性酸素の話

永田親義

老化やガン、糖尿病、アルツハイマー病など、多くの病と関わりがあるとされる活性酸素だが、その内容を知らない人は多いのではないだろうか。活性酸素とは何か、活性酸素と病気との関係を分かりやすく解説している。 (ブルーバックス)



エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明

堀田佳男

エイズの原因ウィルスであるHIVが発見されて間もない時代に、治療薬発見に果敢に挑んだ満屋先生の伝記的ノンフィクション。世界で初めてのエイズ治療薬は、当時アメリカ国立ガン研究所に勤務していた1人の日本人によって見出されたものであることを知ってほしい。危険を顧みず研究にかける情熱は、同書の中で野口英世と対比されているが、優れた研究を成し遂げた人達に少なからず共通する部分でもあると言える。また、この本を通じて医薬品開発に必要なプロセス(例えば臨床試験と呼ばれる人体実験)、特許をめぐる争いなど、医薬品開発の裏側を知ることができ、高校生にも読みやすい作品だろう。 (文春文庫)


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