ぼおるぺん古事記

こうの史代

『この世界の片隅で』で知られる作者による、『古事記』上巻(神話に関する巻)をマンガ化したものです。特筆すべきは、通常の古典文学マンガのように現代語訳に基づいたものではなく、台詞はすべて原文(訓み下し文)ということ。

すなわちこのマンガを読むことで、『古事記』上巻が通読できます。これはものすごいことです。また文章なら「天の浮橋」と一言で済むものを、マンガは絵にしなければならなりません。研究者達が難問としているこうした事柄を、作者は様々な研究書を読み込み、一つの解釈を生み出し、描いています。欄外の補注からも、その丁寧かつ真摯な仕事ぶりがうかがえます。本書は間違いなく、現代における優れた『古事記』注釈書の一つです。 (平凡社)

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